ワーク・ライフ・バランスと家族経営協定:総論

家族農業経営は、家族が共に仕事として農業経営に関わりつつ、生活も共にするという特徴を持っています。そのため、家族農業経営では、夫と妻が話し合い、理解しあって農業に取り組む「パートナーシップ経営」かどうか、「ワーク・ライフ・バランス」が取れているかポイントとなります。
このコラムでは、「ワーク・ライフ・バランス」つまり、仕事=農業と生活の調和について、考えてみます。

農業は季節的条件・天候等に左右されやすいことから労働基準法の適用除外があり、労働時間、休憩、休日について守るべき労働条件の定めがありません。逆に言えば、農業者自らが働き方を自分で考えて決める必要があります。作目の生育状況や市場の動向などを追いかけて、朝早くから暗くなるまで働いたり、雨が降った時だけ休日にするという無計画な働き方では、見通しのある落ち着いたゆとりのある農業や生活はできません。家族農業経営だからこそ、共に働く家族員と話し合い、自分たちの経営に合った働き方と暮らし方ができることに気づき「ワーク・ライフ・バランス」のとれた魅力あるライフスタイルを築きましょう。

そのために有効な手段として「家族経営協定」があります。協定の中で、一日の労働時間(農繁期、農閑期別の始業時間と終業時間)、休日、報酬、家族員の農業の担当分野や家事の役割分担などを定めることができます。なお、天候の状況や作物の生育状況により、家族員と話し合って適宜見直すことができるようにしておくこと良いでしょう。

更に、パートナーシップ経営として「農業経営の方針決定への家族員の参画」も協定に入れることで、農業経営への意欲の向上につながります。

ワーク・ライフ・バランスを図っていくうえで、労働時間的要素だけでなく、農業や生活に対する家族員の前向きな「気持ち」の持ち方が大切です。そのためには、家族員の意思が農業と生活運営に取り入れられることが必要です。生活運営については、男だから女だからではなく、家族員がお互いを大切に思いつつ話し合って家事や育児、介護などを分担することが大切です。

一般社団法人家の光協会 理事 齋藤 京子

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