働き方改革と女性活躍推進
今農業界も人口減少や高齢化による担い手の不足により、多様な人材による農業現場での活躍が期待されています。外国人技能実習生、女性の活躍推進、農福連携、高齢者・障害者雇用促進など、注目されるキーワ-ドがあります。「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。働き手の意識の変化や人手不足解消に対応するために生産性向上、働き方改革による魅力ある職場づくりが必要です。
2019年4月から働き方改革関連法が施行されています。
①残業時間の上限規制
農業は労働基準法上、労働時間は適用除外とされていますが、他産業においては時間外労働が原則として月45時間・年間360時間以内です。特別条項でも、年間720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、単月100時間未満(休日労働含む)とされました。
②有給休暇の取得義務
年10日以上の有給休暇を付与される労働者には、そのうち5日については使用者が時季を指定して1年以内に取得させなければなりません。
③勤務間インタ-バル制度導入の促進
終業時刻から次の始業時刻までの間に一定の休息時間を設定し、労働者の生活や睡眠時間を確保できるようにします。
④産業医の機能強化
労働者の健康確保のため、長時間労働に対する医師の面接指導の実施や全ての労働者の労働時間の把握などの対応を行わなくてはなりません。
⑤同一労働同一賃金
正社員と非正規雇用労働者などで区別せずに、同一の労働をしたときは同一の賃金を支払います。
⑥フレックスタイム制の見直し 等
フレックスタイム制の清算期間の上限が1か月から3か月に延長されます。例えば「6・7・8月の3か月」の中で労働時間の調整が可能となるため、子育て中の親が8月の労働時間を短くすることで、夏休み中の子どもと過ごす時間を確保しやすくなります。農業もフレックスタイム制を準用して、多様な人材の働き方に対応していけるよう検討ください。
農業は法定労働時間の適用除外ですが、長時間労働の是正や有給消化を促進することで、ワ-クライフバランスの実現に取り組み、「心身の健康」を育まなければなりません。
農業は「正社員数名プラス多数の女性パ-トタイマ-」という経営が多く見受けられます。この場合「同一労働同一賃金」の課題に取り組むことが急務です。
均等待遇・・・職務内容等が同一であれば同一の待遇を行うこと
均衡待遇・・・職務内容等に違いがあればその違いに応じた取り扱いを行うこと
合理的な待遇差の範囲内か、不合理な待遇格差なのか問われることになりますので、職務内容、責任の度合等の洗い出しを行うことが肝要です。厚生労働省のHPでガイドラインが示されていますので参考にしてください。同一労働同一賃金は、農業でも中小企業は2021年4月から実施されます。
社会保険労務士法人 リライアンス 代表 鈴木 泰子