各種の法制度・政策等との関係で家族経営協定を考える

各種の法制度・政策等との関係で家族経営協定を考える

1.民法の寄与分制度と家族経営協定の関係性

農地資産の継承をめぐっては、先代の死去に伴って相続の発生時から、遺産分割協議や寄与分制度等といった、法的な仕組みによって課題解決を図ろうとするのではなく、そこでの紛争を未然に防止することに十分留意して、被相続人の生前から関係者がよく話し合い、具体的な対応策を明らかにする取り組みが重要と言えます。この観点に立つ時に、家族または親族間の話し合いを具体化して行く上で、家族経営協定は有効な取り組みの一つになると思います。
次の①~③は、民法の寄与分制度を例に挙げ、この制度に基づく課題解決よりも、長年の家族経営協定の実施をお勧めしたいという趣旨を端的に説明したものです。

ポイント
寄与分制度により家族経営協定の活用の勧め
①遺産分割時における問題 : 共同相続人の中で「特別な寄与」をした人がいる場合
②上記①の人は、寄与分の申し立てが可能だが、懸念も多いと見られる
(→ その懸念とは : 紛争の発生や、裁判により認められる金額の水準等)
③当事者の貢献に応じた的確な財産の移転を、被相続人の生前から協定で実行
→ 家族経営協定は寄与分をめぐる紛争を未然に防止する機能を持つ

2.家族経営協定の推進は一貫して政策の重要課題

農政上の仕組みにおいて家族経営協定とリンクさせたものは数多くあります。その代表格としては、農業者年金における保険料助成や、認定農業者の家族・夫婦による共同申請などがあります。
これらの仕組みを活用する場合には、協定締結が形式的なものとならないよう十分留意することが大切です。その上で、関係機関とも相談して必要な協定項目を整えるとともに、家族各人の意思や相互の合意内容を的確に反映した協定書を作成して行くべきと考えます。
一方、社会のあらゆる分野を対象とした、国の「男女共同参画基本計画」においても現行・第4次計画の中で、家族経営協定は、締結農家数の成果目標を提示して、その普及拡大が重視されています。
その上で同計画では、家族経営協定をめぐり、例えば次の①~④のような取り組み方の推進を明示しています。

ポイント
第4次男女共同参画基本計画における家族経営協定の位置付け
→ 締結農家数の拡大を成果目標に掲げた上で
①家族経営協定の継続的な有効活用
②協定の活用による夫婦共同での各種制度への申請の推進
③締結後のフォローアップを目的とした協定農家間の情報交換等の促進
④男女のワーク・ライフ・バランスや健康管理への配慮を含む家族経営協定等
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