家族経営協定の普及推進の着眼点について

家族経営協定の普及推進の着眼点について

1.協定締結の趣旨をどう伝えて行くか

家族経営協定の普及推進をめぐり、普及対象者にその趣旨をどう伝えて行くべきか、特に文書化の意義、当事者の立場を踏まえた対応、協定内容の実行・見直し・ステップアップへの取り組みについて、主要な論点を次に列記します。

ポイント
【家族経営協定の文書化の意義】
→文書化は目的ではなく手段
1. 文書で明示の合意を行い、継続的な家族内の話し合いを促す
2. 家族だからこそルーズになりがちな点を克服する
3. 文書の中には数値も入り、経営目標や就業条件が一層明確に
4. 経営改善の取り組みが見える化し、就農前の後継者にも伝わる
ポイント
【相手の立場を踏まえて協定の趣旨を伝える】
(例)
1. 当事者に分かり易い協定書づくり(→協定書のタイトルや条文の表現方法等に留意)
2. できることから短文で始める協定も視野に
3. 経営作目ごとの特性に応じた就業条件の設定など

上記3に関して補足すると、例えば、稲作や茶生産など作業の繁・閑期がはっきりしている場合は、農繁期の健康管理を考えた労働時間の設定が大切です。
また、多様な作型を組み合わせた周年型の野菜生産の場合には、定期的な休日取得に向けた対策が必要になると思います。

ポイント
【協定内容の実行・見直し・ステップアップへの取り組み】
1. 協定した各項目の趣旨を当事者がしっかり把握することが大切(→それは、協定内容の実行を図る第一条件)
2. 協定の1年更新、当事者全員による話し合いの継続で内容の見直し
3. 協定書に付属表を設け、家族で協議した重要事項の記録を適宜行う

2. 締結運動を地域にどう広げて行くか

家族経営協定の締結運動を地域にどう広げて行くか、その際に、農業者や関係機関・団体等がそれぞれの役割を明確にすることが大切でしょう。締結運動を地域で取り組む場合の着眼点を次の①~③に列記してみたいと思います。

ポイント
締結運動を地域に広げる時の着眼点
①農業者による主体的な推進活動の重要性
モデル農家を軸とした理念の発信や、協定農家間の情報交換の場づくり
推進者が各自の経験に基づき、協定締結の意義を各自の言葉で表現
一方で、JAの部会活動等を通じた取り組みも有効

②推進体制に問われるもの:二つの機能が必要
イ.締結運動を継続する仕掛け(毎年の調印式開催等)
ロ.協定内容の策定をめぐる助言や支援の窓口の明確化

③協定の幅広い機能のPRも必要
例えば、兼業農家、高齢農家等の場合も協定普及の対象に
→それぞれの経営・生活の実態に合った協定農家の事例が各地に存在

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