従業員モチベーションの維持・向上について
「経営発展のためには各従業員のモチベーションが重要」という点は多くの経営者が感じていることだと思いますが、「従業員が何を考えているのか分からない…」「ウチの従業員はやる気がなくて…」と嘆く経営者の声も多く聞こえてきます。従業員にやる気を持って前向きに働いてもらうために何が必要なのでしょうか。
従業員も感情を持つ1人の人間であるため、モチベーションの維持・向上のためには「従業員の心の動き」を理解することが重要になります。心理学の世界では、「内発的動機づけ」が仕事上のパフォーマンスを向上させるとされており、「従業員自らが組織の目的や目標を達成しようと思うこと」が業績向上のためにも重要となります。では、「内発的動機づけ」を行うためにはどのような取り組みが効果的なのでしょうか。
まずは「経営理念の策定と理解」が重要となります。「組織の存在意義や究極的な目的」を言語化した経営理念を策定した上で、各従業員に理解してもらうことで、「自分はなぜこの仕事をしているのか」が明確になり、前向きに業務に取り組めるようになります。また、各従業員が「現在担当している業務の前後の業務が経営理念の達成のためにどのような役割を持っているのか」まで理解できるようになると、助け合いの意識が生まれ、より成果に繋がりやすい働き方への行動変容も期待できます。
次に「従業員の頑張りが報われる各種制度の構築」が挙げられます。従業員が自分自身の頑張りを認めてもらえる仕組みがあると、モチベーションの維持・向上に繋がりやすいでしょう。最終的には「人事評価制度の構築と賃金制度への反映」まで取り組むことが望ましいですが、経営状況やポストの不足等により、昇給・昇進がすぐには難しい場合もあるかもしれません。そのような場合にはできることからでも少しずつ取り組んでいきましょう。例えば、「望ましい行動をした従業員への表彰・繁忙期終了後の数日間のリフレッシュ休暇・自社産農産物を活用した食事会の開催」等が挙げられます。また、従業員の自主性を高めるための「社内業務改善提案制度」の構築や地域社会の一員であることを自覚してもらうための「地域住民や関係者を招待した各種イベントの開催」等も有効です。
実際に取り組みを進める際には、いずれの取り組みを進める際も、場当たり的な対応ではなく、「経営側としての目的と目標地点を明確にすること」「各従業員に取り組みの目的と具体的な内容を説明した上で納得してもらうこと」「運用していく上で課題が発生した場合は、現場の意見も尊重しながら粘り強く改善を重ねること」が重要になります。取り組み初期は予想もしていなかった事態が発生することも想定されますが、目的を見失わずに一貫した対応を続けることで、従業員からの信頼が得られ、取り組みが少しずつでも浸透していくでしょう。
皆さんも従業員のモチベーション維持・向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。
AMパートナーズ 代表 篠原 秀紀