新しい組織のかたち「ティール組織」【組織を作るために参考になる書籍の紹介】

組織モデルを色分けし、次世代型組織について説明した「ティール組織」フレデリック・ラルー著は、2018年に大きな衝撃を与えた書籍です。さらに、それをより分かりやすく説明する「[イラスト解説]ティール組織-新しい働き方のスタイル」が出版されています。前者を書籍、後者をイラスト版として話を進めていきます。

旧来の組織を4つの色で説明していますが、書籍での説明にイラスト版でのリーダーの特徴的なコメントを加えてみると次のようになります。

・レッド 衝動型組織
集団をまとめるために組織のトップは常に暴力を行使。組織をつなぎとめるのは恐怖。環境変化に対してきわめて受動的で、短期志向で混乱には強い。
「おい、お前!その進化段階ってやつが気に食わないんだ。もう一度、言ってみろ。」

・アンバー 順応型組織
ピラミッド型の階層構造に適用される極めて型にはまった役割。トップダウンによる指揮命令(何をするのかも、どうするのかも上が決める)。厳格なプロセスにより何よりも「安定」が重視される。未来は過去の繰り返し。
「進歩とは、煙と鏡のようなごまかしの幻想です!私たちは、規則と伝統に立ち戻るべきだ。」

・オレンジ 達成型組織
目標は競争に勝つこと。利益を獲得し成長を目指す。前進するための鍵はイノベーション。目標達成のための経営(何をどうするかは上が決める。どうするかは自由)。
「あんたはこのヒッピーたちのほうが、私より進化していると、まじめに言っているのかね?」

・グリーン 多元型組織
古典的なピラミッド組織の中で文化と権限移譲を重視して、従業員のモチベーションを驚くほど高める。
「あなたは、きめつけたいのかね?私は、他のみんなと同じですよ!」

そしてタイトルにあるティール組織の世界観は、「個人と集団の開放を目指す世界」「エゴの抑制」「内なる心の呼びかけに従う」「『全体性』を希求する」であると、イラスト版で説明がされています。

事例として取り上げられているオランダのビュートゾルフは、地域看護に革命をもたらした組織と言われています。チームリーダーのいない10~12人が細かく割り当てられた地域で、あらゆる業務を自分たちで決めて、「患者がどうしたいのか」を中心に仕事を進めています。このような自主経営が可能となる組織が、様々な場所、様々な業種で生まれていることを研究した、そのことから、進化型組織についての考察がなされています。

書籍はボリュームがあり情報量が多いのですが、イラスト版は絵本のようにイラストで説明することで分かり易さを訴求しています。

イラスト版で概要を知り、書籍でより深いところを知るという方法が、ティール組織を知る近道かもしれません。

ティール組織~マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現~
2018年
著者 フレデリック・ラルー
訳者 鈴木立哉
発行 英治出版株式会社
ISBN978-4-86276-226-9

[イラスト解説]ティール組織―新しい働き方のスタイル
2018年
著者 フレデリック・ラルー
イラスト エティエンヌ・アペール
訳者 中埜博 他
発行 株式会社技術評論社
ISBN978-4-297-10257-9

有限会社河野経営研究所 代表取締役 河野律子